スメハラは、臭いで人を不快にさせることです。その意味と、なぜ問題視されるのか? さらに自分がスメハラ加害者になっていないかそのセルフチェック方法と、口臭やタバコ臭、上着の臭い、足の臭いなど、それぞれの具体的な対策について紹介しています。
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スメハラとは?
「スメハラ」という言葉を知っていますか? 「ハラ」とついていることから、何かの「ハラスメント」だろうとは予想がつきますよね。最初の2文字の「スメ」は「スメル」の略です。「スメハラ」は、「スメルハラスメント」の略語なのです。
「臭い」の「ハラスメント」、つまり「スメハラ」とは、「臭いで人を不快にさせること」をいいます。
マンダムが行った「職場のニオイに関する意識調査」によると、「スメハラ」という言葉を知っていると答えた人の割合が2014年には20.1%だったのに対し、2017年5月には45.8%。3年前には5人に1人の認知度だったものが、2017年にはほぼ半数の人が知っていると答えています。
他人の臭いを不快に思っている人は、もう何十年も昔からいるはずですが、ここ最近になって、ようやく問題視され、広く知られるようになってきたのですね。臭いに敏感なわたしとしては、嬉しいかぎりです!
スメハラはビジネス効率を下げる大きな要因!
スメハラは、主に職場で問題視されています。何が問題なのか、具体例を交えて見ていきましょう。
具体例Aさんの場合。タバコの臭いがきつくて頭痛が・・・。
とある会議の席で。
その会議に出席している半数がタバコの愛飲者でした。彼らは会議の間じゅうタバコをつけたり消したりします。会議室にはタバコの臭いが充満しています。タバコを吸わないAさんは、タバコの臭いが耐えられません。会議に集中することができず、頭痛すらしてきます。ただ考えることは「一刻も早くこの場を離れたい!」それだけです。
具体例Bさんの場合。同僚の口臭がすさまじくて・・・。
二人一組で仕事をしているBさんは、同僚の口臭に悩んでいます。
ペアで仕事をしているため、仕事中はいつも同じ相手と一緒にいます。至近距離で話すことも多いのですが、相手の口臭がきつくて、話している間じゅう、顔をしかめないよう耐えることに必死でまともな会話が成立しません。どうしても疎遠になってしまうのですが、当の本人はなぜ自分が避けられているのか理由が分からないようです。結果、仕事がスムーズに進みません。
具体例Cさんの場合。上司の整髪料が鼻をついて・・・。
Cさんの上司はとてもおしゃれに気をつかっています。
仕立ての良さそうなダブルのスーツに、エルメス柄のポケットチーフ、いつも整髪料でびしっと髪を整えています。でも、その整髪料がとてもきつい臭いで、Cさんは上司の前では息を止めて接しています。そう長く息を止めていられないので、いつも目を白黒させています。
じつは上の具体例はすべてわたしの実体験にもとづいて書いています。
Aさん、Bさん、Cさん、どの例でもスメハラを感じている人は仕事に身が入っていません。とにかく臭いに耐えるのに必死で、仕事に集中することができずにいます。さき程のマンダムの調査でも「他人のニオイが気になって仕事に集中できないことがある」と答えた人は3人に1人に上ります。
スメハラは、ビジネス効率を下げる大きな要因となっているのです。
スメハラ加害者は男性だけではない!
女性は男性に比べて臭いに敏感で、2016年4月にP&Gが行った調査によると、女性社員の9割が「男性上司のスーツの臭いが気になる」と答えています。
こうきくと、スメハラ加害者は、そのほとんどが男性かと思われがちですが、男性社員もまた女性のスメハラに悩んでいるのです。
女性の場合、問題になるのは主に香水です。
具体例Dさんの場合。隣席の女性社員の香水が臭くて・・・。
新しい部署に配属されたDさんの席の隣は女性社員でした。
とてもファッションに興味があるようで、身だしなみはきれいなのですが、香水がきつすぎて仕事の間じゅう嫌な気分になってしまいます。面と向かって指摘もできず、困っています。
香水を愛用している女性は、自分にとっては良い香りなので、つい多くつけすぎてしまうのが問題になるようです。その香りに慣れてしまうと、つけすぎているかどうか分からなくなってしまうので、本人も気づかない可能性が高いのが香水の厄介なところですね。
香水は匂いが強いから──と敬遠する女性は多いのですが、そんな女性たちに支持されているのが柔軟剤です。柔軟剤はもともと洗濯物を柔らかく手触りよく仕上げるためのものでしたが、現在では「香りづけ」の役割をするものとして認識されています。
そのため、さまざまな香りの柔軟剤が発売されていますが、香りを求めるあまり、どんどん強い香りの柔軟剤が登場しています。とくに輸入品の柔軟剤は日本人にはちょっと強すぎる香りのものが多く、きつい香水と同じように人を不快にさせる可能性があります。
スメハラは決して男性だけが加害者ではなく、女性も気をつけなければいけないものなのですね。
スメハラを指摘するのは難しい
「セクハラ」「パワハラ」「モラハラ」など、〇〇ハラスメントと呼ばれるものはたくさんあります。どれも根深い問題で、すぐに解決するのは難しいのですが、それに比べればスメハラは、臭い対策さえすればいいので簡単に解決できるように思えます。
でも、「スメハラは指摘するのが難しい」という意識が強く働くため、なかなか対策されない傾向にあります。さき程のP&Gの調査結果によると、実際に臭いを指摘したことのある女性は、わずか8%と書かれていました。多くの人が「相手を傷つけそうだから言えない」と、黙って我慢しているのです。
会社員時代、わたしも黙って我慢していました。おかげで、毎日がとても辛かった覚えがあります。
せっかく「スメハラ」という言葉が注目されているのだから、これを機会にぜひ自分の臭いは大丈夫かチェックして、対策を立ててください。
たかが臭いで嫌われたり、仕事効率が落ちたりするのは、つまらないですからね!
体臭のセルフチェックと改善方法
それじゃ自分は臭いのか臭くないのか? 他人が指摘してくれないのなら、自分で確認し、臭いのならすみやかな対策が必要ですよね。ここではそれぞれの方法を簡単に紹介しましょう。
口臭
一番簡単なチェック方法が、ビニール袋を自分の息で膨らませ、その臭いを嗅いでみることです。口臭を簡易測定できる口臭チェッカーも販売されているので、使ってみるのもいいですね。もっとも確実なのが、歯科医院の口臭測定器で計測してもらう方法です。
改善方法
口臭の原因はさまざまです。それぞれに簡単な方法を紹介します。
タバコ
タバコは口に残るタールの臭いが主な原因です。タバコを吸った後に歯みがきして、タールを取り除くのがもっとも効果的です。歯みがきが大変なら、うがいで洗い流したり、ガムにからめて捨てたり、携帯用のマウスウオッシュを使っても口臭が軽減されます。舌を磨くのも効果があります。
虫歯や歯周病
虫歯や歯周病も口臭の原因となります。歯医者で治療するのはもちろん、自分の歯の磨き方を見直してみるのも大切です。デンタルフロスや糸ようじを使って、歯の間もしっかり磨くようにしましょう。
ニンニクなど臭いの強い食べ物
ニンニクを代表とする臭いの強い食べ物は、口や息から臭いが立ち上ってきます。食べないのが一番ですが、対策もあります。たとえばニンニクを食べた後に牛乳を1~2杯飲んでおけば臭いの軽減につながります。ウーロン茶やりんごでも効果があるという研究論文もあります。お酒を飲むと唾が減ることで口臭がするという面もあります。たっぷり水を飲んでおくと少しは口臭が防げます。
鼻や全身疾患
耳鼻科や内科で治療を。
わきが
シャツの脇が黄色く変色していたら、わきがを疑ってみてください。
改善方法
汗脇パッドなどを利用する、洗濯回数を増やす、消臭スプレーを利用する。重度の場合は、皮膚科、形成外科、美容外科などで相談してください。
足の臭い
脱いだ靴や靴下の臭いをチェック!
改善方法
可能なら丸洗いできる運動靴をはき、ときどき洗いましょう。消臭スプレーや消臭中敷きもあります。水虫が原因のこともよくあります。わきがの方は足の臭いもきつくなりがちです。それぞれ治療を。
背広の臭い
背広の洗濯は、季節ごとのクリーニングが一般的です。最近では、洗濯機で丸洗いできる背広もあるようですが、普通の背広を洗濯機に入れたら・・・安くはない背広が着られなくなってしまいます。でも何日も同じ背広を着ていたら、そりゃ臭いも蓄積します。とくにタバコを吸う人は、すごい臭いがこびりついていますよ! 家族に臭いチェックしてもらいましょう。
改善方法
簡単なのが、複数の背広をもつことです。着ていない背広は陰干しして臭いを追い出しましょう。消臭スプレーも効果的です。スチームアイロンも臭いを消す効果があります。
整髪料や香水
自分で気に入ったニオイなので、まさか相手に不快に思われていると気づかないないのが香水です。強すぎないか、家族や友人に率直なところを教えてもらいましょう。整髪料をたくさん使っている方も、一度、家族に臭いがきつくないか聞いてみましょう。
改善方法
整髪料は、できるだけ臭いの弱いものを選びましょう。たくさん使う方はとくに、強い臭いのものは避けてください。香水は、つける分量と頻度を控えましょう。
まとめ
今回は、スメハラの意味と、最近とくにクローズアップされているビジネスシーンでの問題に重点を置いて紹介しました。スメハラは男性、女性を問わず加害者となり、ビジネスシーンでは著しく仕事効率を下げる問題です。改善すればいいだけなのに、なかなか対策が進まないのは、自分では気がつきにくく、他人が指摘しにくいという事情があります。
自分がスメハラの加害者になってしまっていないか、セルフチェックして、改善策を取りましょう。
参考
「職場のニオイに関する意識調査2017」マンダム
「職場における衣類のニオイ調査」P&G